新卒でネットワークのヘルプデスクとして入社し、一年で開発職への転職を決意した川嵜さん。「石の上にも三年」の考えにとらわれることなく、自らの違和感に向き合い第二新卒としてのメリットを最大限に活かして転職を成功させました。
入社一年目でルートを切り替えた理由や、採用されるために意識したこと、そして転職後の変化について詳しくお話を伺いました。
◆川嵜 梨恵さん(システム部)
職種:プログラマー
雇用形態:正社員
経歴:第二新卒でサーバーフリー株式会社へ開発職として入社
※所属・役職は取材時点の情報です。
やりたいこと、将来性への違和感。入社一年目で保守・運用から開発職へ転職を決めた理由
──現在のお仕事について教えてください。
既存のソースコードの修正や、リリース直前のテスト業務などを主に担当しています。職種としては開発職です。
──前職もIT業界だったと伺いました。前職ではどのような業務をされていましたか?
新卒で入社した前職では、ネットワークのヘルプデスクを担当していました。主な業務はネットワークの監視です。システムが正常に動いているかを見守り、ネットワークが止まった際にお客様へ連絡を入れたり、逆にお客様からつながらないと連絡があれば対応したりしていました。
──いわゆる保守・運用と呼ばれる分野ですね。そこから転職を意識し始めたきっかけは何だったのですか?
きっかけは2つありました。1つ目は、自分のやりたい仕事とのズレを感じたことです。
もともと入社前は、ネットワーク機器の設定をやりたいと考えていたのですが、実際の配属は監視業務がメインでした。
そんな中、会社の新人研修で開発に触れる機会があり、実際にプログラミングをして自分の書いたコードで、モノが動く様子を見たときに「ネットワークよりも開発の方が楽しい」と感じました。つくったものが目に見えてわかることに、やりがいを感じたのが最初のきっかけです。
──新人研修での体験が、本当にやりたいことに気づかせてくれたのですね。
そうですね。もう1つの理由は、スキル面の危機感です。
ヘルプデスクの業務は重要な仕事ではあるのですが、基本的にはマニュアルに従って対応することがほとんどでした。自分のスキルになっているのか考えると、あまり実感が得られなかったのです。そこから転職しようという決断に至りました。
──入社一年目での転職には、大きな勇気が必要だったのではないでしょうか?
IT業界では設計・開発などの上流工程から保守・運用といった下流工程に移るのは比較的簡単である一方、その逆は難しいといわれています。保守・運用の仕事は、できあがったものを維持する業務としての側面が強いので、ゼロからつくり出す開発に移ろうとすると、年齢を重ねるごとにハードルが上がってしまいます。
もし開発に移るなら、新人として教育してもらいやすい第二新卒というチャンスがあるうちに早く動いた方がいいのでは、と判断しました。
──戦略的に早期退職されたのですね。
転職を成功させた秘訣は?熱意と具体的な実績アピールで未経験・早期退職をカバー
──未経験で開発職を目指すにあたって、学習面での準備はしましたか?
スクールなどには通いませんでしたが、テキストを買ってできる範囲で学習していました。本格的にコードを書くようになったのは今の会社に入ってからです。
──企業選びではどのようなポイントを重視しましたか?
とにかく、最初から開発業務に携われることを絶対条件にしていました。
未経験だと、まずは保守・運用からといった求人が多いのですが、それだと前職と変わりません。開発職として採用していただけて、かつ教育体制のある会社を探しました。
──書類選考や面接でのアピールで工夫した点はありますか? 技術的な実績がない中で、どのように臨んだのでしょうか。
とにかく、職務経歴書でも面接でも、熱意を具体的に伝えることに注力しました。
例えば、ヘルプデスクの業務は実績を数字で表しにくいのですが、そこをあえて数字に落とし込みました。「年間で何件の問い合わせを処理したか」「新人の平均処理件数がこれくらいなのに対して、自分はこれくらいやった」と、使えるものは使おうという意識で具体的に書きました。
──具体的な数字や比較対象を出すことで、前職での成果を客観的に証明したのですね。
はい。面接でも「実務は未経験ですが、テキストを買ってここまで勉強しています」と、熱量を込めてアピールしました。
──面接で、聞かれた質問はありますか?
一年で退社した理由について聞かれました。やはり一年未満での退職は、一般的には印象が良くありません。この質問に対しては、「実際に業務に触れてみて、自分のやりたいことの軸が変わった」「もっと開発を突き詰めたくなった」とありのままお話ししました。
やってみて初めて、やりがいに気づくことはあると思います。そこを隠さずに、前向きな理由として伝えるよう心がけました。
──転職活動で特に大変だったのは何ですか?
面接の日程調整が難しかったです。前職は24時間365日のシフト制で夜勤もあったので、自分から「仕事の都合上、この日とこの日の、この時間帯でお願いできますか」と、候補日を3つほど提示して調整してもらいました。現状を誠実に話し、いただいた連絡には即座に返信することも心がけていました。

わからないの連続でも毎日が楽しいのは「日々、伸びしろが埋まっていく感覚」があるから
──希望通り開発職への転職を果たし、現在の仕事についた後、ギャップは感じましたか?
新人研修で開発を経験していたこともあるせいか、転職後にギャップはあまり感じませんでした。むしろ、前職のネットワーク関係の知識が活きた場面もあったのは意外でした。
開発中のサイトがつながらないトラブルが起きたのですが、ネットワーク設定の問題だとすぐに気づくことができて。ネットワーク関係も考えられる点は、前職の経験を活かせていると感じます。
──前職の知識を活かせるのはうれしいですね。未経験からのスタートでは、苦労も多いのではないでしょうか。
一度はプログラム経験がある方や勉強していた方が圧倒的に多いので、周りのレベルに追いつけていないと感じることはよくあります。先輩が何を言っているのかわからない、コードが読めない、自分の状況をうまく説明できないなど、苦労は多いです。
──わからないことに直面したときは、どうやって乗り越えていますか?
まずは自分で調べて答えを探します。それでもわからなければ先輩に聞くのですが、今の職場はそういった質問も丁寧に受け止めてくれる環境なので、本当に助かっています。それでも落とし込めなかったときは、自宅に帰っても復習することを心がけています。
独自の勉強法として、関係するソースコードをExcelに整理してつながりを書き出すようにしています。実際の業務のコードは、いろいろなファイルに分かれていて全体像が見えにくいので、Excelに貼り出すことで全体のつながりが見えて理解しやすくなります。
──転職してよかったと感じるのはどのような点ですか。
不満なく働けることです。前職では、仕事への不満がどんどん増殖していく感覚がありました。でも今は、失敗しても「次はこうしよう」と改善につなげられています。不満が生まれなくなったことが一番大きな変化です。
未経験からのスタートなので、伸びしろしかないと感じています。昨日わからなかったことが今日わかる、前回できなかったことが今回できる、というように自分の伸びしろが埋まっていく感覚が毎日あって、やりがいがあります。大変さはありますが、それを上回る楽しさがあるので、この会社に入社してして本当によかったと心から思っています。
迷うなら動く。「石の上にも三年」にとらわれず、選択肢を広げるために転職活動を
──最後に、これから第二新卒で転職を考えている方へメッセージをお願いします。
私からアドバイスできるのは「迷うぐらいなら、行動した方がいい」ということです。転職活動は新卒の就活と違って、仕事をしながら進められるので無職になる心配がありません。その分、リスクや精神的な負担は意外と大きくないと思います。だからこそ、迷っているなら、プラスに働きそうな方向に早めに動くことが大事だと思います。
──川嵜さん自身、転職活動に踏み出すまで迷いはありませんでしたか?
転職活動を始める前は、「一度就職したら三年は続けるべき」といった世間の常識から、三年続けてから転職すべきか、今すぐ転職すべきか迷いました。でも、転職活動をして面接に受かっても「絶対にその会社に入社しなければ」と思う必要はないですよね。断ることもできるので、迷ったなら選択肢を増やす意味でも行動するのがベストだと思います。
未経験でも、熱意をもって臨めば受け入れてもらえる会社はたくさんあります。もし今の環境にモヤモヤしているなら、まずは一歩踏み出してみてほしいです。
──迷ったら動くことが、理想のキャリアを開くポイントなのかもしれませんね。本日はありがとうございました。